畳の中身にこだわる 其の壱

畳の中身は何でできているのか?
ご年配の方なら、それが稲藁であることを知っているだろう。若い人なら気にしたこともないだろう。
しかし、最近の畳の中身は稲藁であることは少ない。
インシュレーションボードやポリスチレンフォームといった木質系のボードや発泡材の建材が主流だ。
ここ20年くらいかけて藁床と建材床が入れ替わってきた感じがする。
おそらく今納品される畳の8~9割が建材床じゃないだろうか?
藁床と建材床のどちらにも一長一短がある。
藁床の長所として、耐久性がある。抜群の調湿性能。柔らかく足触りが良い。
短所としては家の工法構造によっては調湿性能を活かせず蒸れる。環境によっては内部に虫が巣食うことことがある。建材床と比べると重くて作業性が悪い
建材床の長所は、虫の巣になりにくい。発泡材使ってる場合、湿気の影響を受けにくい。仕上がりがより均一である。藁床と比べると軽くて作業性が良い。
短所としては、湿度の高い季節になると湿気を吸いにくい素材なため、表面の畳表が湿度でベタつくことがある。硬い素材なため足触りが悪い。
以上のそれぞれの特徴を考えると建材床が多くなってきた理由も分かる。
畳の性能としては、藁床が一番なのだが、快適性を多少犠牲にしても虫の心配がなかったり、見た目の仕上がりが良かったり、作業性の良さが重視されてきたのだと思う。
要は、簡単に仕事ができてメンテナンスが容易なわけである。
さらに最近の高気密な家との相性を考えると必ずしも藁床がベストとは言えなかったりもする。
加えて、ここ10年くらいは、ヘリ無畳を半畳で市松敷きにするのが主流だが、その仕様を建材床で作れば、藁床の半分の手数を省略できるというのもあるのだろう。
さて、わらしべ工房が新畳を作る場合、どの素材を採用するのか? オススメは藁?建材?
どちらを採用するにしても、作業性などのこちらの都合ではなくて、その畳の上で生活する人のより快適な暮らしという面に焦点を当てて素材を選んでいる。
次回のブログはその辺のことを。