畳の中身にこだわる 其の参

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私が藁床にこだわるのは何故か?



こだわるというより、藁床に適した環境であれば躊躇せずに藁床をお勧めしている(同業さんの中には藁床は重くて大変なのでなるべく使わないという人も多い。実は)。


前回の記事で、建材床も最近良い素材が出てきてかなり性能が藁床に近づいたということを書いた。



しかし、まだ藁床と比べた場合、まだ何かが致命的に足りないのである。

それは、一般の人にとって、あるいは建材床で十分だと考える同業さんにとっては取るに足りないものなのかもしれない。



それは、畳を踏みしめた時に足に伝わる反響音である。



当店が採用している藁床の重さは約31キロ~36キロ(グレードによって違う)。
それに対して建材床の重さは約10キロ~18キロ(仕様によって違う)。


建材床の目方は藁床の1/3~1/2の軽さだ。

30キロオーバーの藁床の畳を踏んだ感触は、柔らかさも相まってしっとりとした、大地を踏みしめたような安心感のあるものだ。足に伝わる反響音はズンという重低音のような。

軽量な建材床を踏みしめると、ポコポコした反響音があしに伝わってくる。今敷かれているものが軽いものであることがわかるのである。


これが何か問題なのか?

感覚的にズンの方がポコポコよりも心地良い。



車に例えると、重さ2トンのセダンと1トン未満の軽乗用車で、乗り心地が違うみたいなものだろうか?



建材床は柔らかいケナフを使おうとこの点は最後まで藁床と同じにはならなかった。

因みに、試験的にオールケナフの畳を作ってみたが、若干の反響はする。
床を柔らかく作っても、軽量であれば反響する感じは残る。



以上の点は、畳屋でなければ言語化できない些細な部分だろう。しかし微妙なことの積み重ねで使う人が癒される畳は出来上がると思う。




以上の感じで可能なら藁床をお勧めするわけだが、施工は建材床より手間がかかる。というよりより良い仕上がりのために手間を掛けている点が以下↓



仕入れた藁床を、畳専用の殺菌乾燥機で畳床内部温度60℃で2時間乾燥させダニカビ0な安全安心な状態にする。


綺麗な仕上がりと後々の縮み防止のために角を叩いて馴染ませる


藁床特有な強烈な反りを踏んで修正


切り口が膨らまないように空縫いをする


床の裏の膨らみの大きい中央部分を軽く削いで厚さ調整



…と以上は建材床だと必要の無い工程だ。加えて建材の3倍の重さ。藁床が良いの分かってても使わない同業がいても理解できる。



これらの工程を手抜きせずに作ると、見たもの良い且つ踏み心地最高の藁床畳の部屋を作ることができる↓










畳の中身、畳床。。仕上げると見えなくなる部分ではなくて、仕上がりや使い心地に大いに影響するというシリーズの記事でした。

人も畳も中身が大事みたいです。








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